μ-Blog

μFactory管理人が、誰かに役に立つかもしれない情報をまとめたブログです

なぜ私は再び"東海道新幹線ユーザ"になったか 〜回想〜

 ここのブログには、基本的に情報のまとめ的な記事を書いてきましたが、たまには私的な話も入った文書も書いてみようと思ってポストします。内容については、記憶をがんばって辿ったのですが、不正確なところがあるかもしれませんのでご容赦ください。以下文体変わります。

はじまり

 私は昔からしばしば大阪東京間を移動していた。1998年頃までは特に深い考えもなく新幹線を利用していた。状況が変わったのは大学に入り、その頻度が増え、また初めての北海道旅行に久々の航空機を利用してからだった。当時は航空業界は規制緩和の入り口の時代で、大手航空会社は3社あり、その中でも私は幼少のときからなじみの深かったJASが好きだった(よく、TDAYS-11に乗って徳島へと往復していた)。久々の航空機利用で旅客機という選択肢があるということに気づかされた私は、その後すぐスカイメイトという制度があることを思い出す。現在もスカイメイトという運賃区分は残っているが、当時は「当日空港にて空席があれば、普通運賃の半額で利用できる」という制度だった。

"航空機ユーザ"へ

 先述したように当時は規制緩和の入口の時代で、航空運賃は普通運賃でたしか16,250円だった(2009.9現在、同じ区間の普通運賃は22,500円)。従って、8,120円で伊丹〜羽田を移動できる航空機は(アクセス費用を考えても)価格面でもかなり魅力的だった。付加サービスとしての無料ドリンクや新聞、マイレージサービスもあった。その頃の東海道新幹線は「のぞみ」が増えたとはいえ1時間に2本が基本で、急ぎでなければ12,000円程度の回数券を金券屋で買ってひかりの指定席を利用するのが基本であった。そうなると、大阪側の拠点が豊中市、もしくは伊丹空港から見て遠くても梅田の私にとっては運賃と時間の両面で航空機の優位性は明らかであった。
 その後、航空機サイドには特定便割引運賃が設定されるようになった。多くは10,000円〜12,000円のレンジで設定されており、空港アクセス費用や所要時間を考えると新幹線といい勝負をしていた(前日までの予約が必要であったため、直前での移動時刻の変更に追従できない、という点で利便性は新幹線に劣っていたが、ある時期までは特定便割引運賃には予約が入れ放題だったので、大した問題とはならなかった(仮に予約を何便かに入れておき、最終的に空港で搭乗する便に対してのみ支払いを行い、他の便はキャンセル扱いにするという方法で実質的に任意の便に搭乗可能だった))。そのうち私はスカイメイトを使えない年齢となったが、それでもごく例外的なケースを除いて航空機を選好していた。主な理由は付加サービスの充実と予約発券システムの出来の良さだった。当時まだエクスプレス予約はマイナーでEX-ICサービスもなかった。そもそもエクスプレスカードは専用クレジットカード(VISA/Master/JCBとの提携なし)で、学生用カードもなく、正直申し込みもためらわれた。一方の航空機サイドでは、伊丹〜羽田の利用者が増え続けた結果、増便が繰り返され、ほぼパターンダイヤとなり利便性が向上した。また、伊丹〜羽田便は、例外を除いて伊丹・羽田空港の最も便利なスポットに駐機するといった配慮もされるようになった。大阪〜東京間での航空シェアがどんどん上昇して行ったのもこの時代のことだった。

風向きの変化、そして再び"東海道新幹線ユーザ"へ

 この時代は長く続いたが、(航空会社の経営悪化や燃料価格等の事情からか)風向きがだんだん変わってくる。まず、運賃がだんだんと値上げされた。特定便割引運賃は13,000円から15,000円程度の設定がほとんどとなった。加えて、伊丹、羽田空港利用時には追加料金がかかるようになった。一方、その間に東海道新幹線のダイヤはのぞみ主体のダイヤとなり、のぞみ料金は若干ながら値下げとなった。また、品川駅が開業し、2007年7月にN700が投入され、その後のATC-NS化などによりのぞみ9本ダイヤと乗り心地の向上が達成された。その後の品川駅全列車停車は東京側の拠点が西東京となった私にはメリットとなった。エクスプレス早特(現在のEX-IC早特)が導入され、6時台の「のぞみ」であれば、運賃・料金は12,000円ですむようになった。2009年3月にはN700系インターネット接続サービスが開始された。現在、大阪〜東京間は新幹線のシェアが上昇している。

まとめと今後に望むこと

 ここ10年ほどの大阪〜東京間の移動の話を、自分の思い出にのせてつれづれなるままに書いてみた。いまや競争力的には東海道新幹線の方がかなり強くなっているというのが実感である。ただ、別に「昔のJR東海・西日本は手を抜いていた」とか「最近のJALANAはダメだ」という趣旨ではない。そもそも、JR東海・西日本と、JALANAはまったく立場が異なる。いうまでもないことだが、例えば、JR東海・西日本は鉄道会社で、JALANAは航空会社だいうこと。JR東海東海道新幹線から長期的に収益をあげ続けて国鉄債務を返済する必要があるが、JALANAは伊丹〜羽田が儲からなくなったら他の路線にシフトすればよいということ。原油高騰の影響の大きさ。地上や車両・機材設備投資のスパン。要員の人的流動性。だから、どっちが良いとか悪いとかではない。立場が違うだけの話である。ただ、「今でも選択肢がある」というのは間違いなくいいこと。そういうわけで、最後に今後に望む事を書いてみようと思う。
東海道新幹線:多くの「のぞみ」の所要時間である2時間36分を2時間30分以内、つまり昔の「のぞみ」と同じ水準以上まで短縮。車内販売でのSuica/ICOCA対応。エクスプレス予約サイトのiPhone対応。
航空機:技術革新(ボーイング787の早期就航)による居住性の向上と燃費の削減。中途半端な状態の「シャトル便」の改善。まだちぐはぐ感のある空港アクセスの改善。